親を扶養に入れたい。メリットとデメリット

2024/02/06

日記

確定申告の時期がやってくると、親を扶養に入れたいと相談が増えます。

所得税における「扶養」と健康保険の「扶養」があります。

親が老いてきて、経済的な支援を始めている人、これから始めようとする人は、親を扶養に入れたほうがいいのか悩んでいると思います。

それもそのはず。所得税における「扶養」に入れると「扶養控除」が受けられます。70歳未満は38万円。70歳以上の高齢者は同居していれば58万円、遠距離のまま扶養する場合は48万円の控除を受けることができます。

ちなみに1年以上長期入院している場合は「同居」扱いになりますが、老人ホームに入所している場合は、その老人ホームに生活の拠点が移ったこととなるので、同居を常況とする者に該当せず「別居」となります。住民票を移していないから「同居」になるということにはなりません。

親を扶養に入れると一人あたり数万~十数万円の減税効果があります。

親を扶養に入れる場合は、いくつか条件があります。

 

  • 生計を一にしていること。

「生計を一にする」とは、同居していれば明らかに互いに独立した生活を営んでいると認めら

れる場合を除き問題ありませんが、別居している親の場合は常に生活費や医療費等の送金を

行っている事実があることを求められる可能性があるので、銀行振込などで履歴が残るよう

にしておいたほうがよいと思います。

 

  • 親の年間所得金額が48万円以下であること。

「親の年間所得が48万円以下」とは、収入から必要経費(公的年金等控除額、給与所得控

除など)を差し引いた「所得」がベースになります。

親の収入をしっかり調べましょう。

 

  • 親が青色申告者の事業専従者として給与の支払いを受けていない、または白色申告者の専業専従者でないこと。

 

健康保険の扶養は認定対象者の年間収入が130万円未満などの基準があります。

親を扶養に入れるメリットは、税金が安くなる、親が75歳未満なら社会保険の「扶養」になれて、健康保険料を負担しなくても保険給付が受けられることです。

デメリットとしては、親を支援するために経済的な負担がかかる、高額療養費の自己負担額が多くなる、介護サービスの利用料や老人ホームの費用が上がってしまうことです。

簡単にまとめると、親が元気であれば扶養したとき税金が安くなるのでメリットが大きいと思います。さらに扶養する親が75歳未満なら社会保険の扶養に入れられるので、親の保険料負担が減ります。

親が介護を必要とする場合は、別居している親を扶養し、同世帯にしたときのデメリットが上回るので、同世帯にしないほうがいいでしょう。

親と情報を共有して、メリット・デメリットを考慮して決めましょう。

渡 邊