2024/03/18
日記
ここ最近、パーティー券キックバックを政治団体の収支報告書に記載せず、裏金化した問題がメディアで取りざたされています。
これに対応して、#確定申告ボイコットがネット上で拡散していると聞きました。
確かに真面目に納税している側が馬鹿らしく感じてしまうのも仕方のない事件にも感じます。
憲法14条1項において「すべて国民は、法の下に平等であって、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。」と規定されています。いわゆる租税公平主義も、この条文からきています。
果たして今回のパーティー券キックバックが租税公平主義に反していないのか。
国民として、税に関わる仕事を生業とする者として、この問題がどのような決着となるか注視していきたいと考えています。
では、そもそも所得とは何なのでしょうか?
所得の概念について、金子宏教授は「財貨の利用によって得られる満足を意味する。しかし、これらの効用や満足を測定し定量化することは困難であるから、所得税の対象として所得を問題とする場合は、金銭的価値で表現せざるを得ないだろう。」[1] と述べられています。
また、以下の理由により包括的所得概念が一般に支持されております。
第1に、一時的・偶発的・恩恵的利得であっても利得者の担税力を増加させるものである限り、課税の対象とすることが公平負担の要請に合致することから。
第2に、すべての利得を課税の対象とし、累進課税の適応のもとに置くことが、所得税の再分配機能を高めることが出来ることから。
第3に、所得の範囲を広く構成することによって、所得税制度の持つ景気調整機能が増大することから。(金子宏「租税法」第十七版176項)
この所得の概念については、一部限定される部分もありますが不法な所得についても包括的所得概念において所得とされるのです。
では上記のパーティー券のキックバックは包括的所得概念において所得であると言えるでしょう。あとは受け取る側が個人なのか、政治団体なのかが大きな違いで、そこが今回問題となっている皆様の拠り所なのでしょう。租税公平主義、租税法律主義のもと、正しい判断がされることを願います。
執筆 荒井
[1] 金子宏「租税法」第17版174項