給料から控除されている源泉所得税について

2024/06/05

日記

毎月の給料明細について、なにげなく眺めている人が大多数だと思います。

毎月控除されている源泉所得税はどのように計算されているかご存じですか?

源泉所得税を計算する際、「甲欄」「乙欄」「丙欄」があります。

 

●「甲欄」とは、従業員が「給与所得者の扶養控除等申告書」を提出している場合適用されます。「給与所得者の扶養控除等申告書」とは年末調整の時に提出する用紙です。

日本国内で給与支給を受ける居住者は、原則扶養控除等の申告を提出する必要があります。

パートやアルバイトの方は、所得税の対象とならない年収103万円以下であっても、「給与所得者の扶養控除等申告書」を提出していれば「甲欄」となります。

また扶養親族等の数に応じて控除の金額が変わります。

 

そこで気になるのが、扶養親族等の数はどのように数えるのかという点です。

扶養親族等の数のカウント対象は、以下の3つとなります。

①源泉控除対象配偶者

②控除対象扶養親族

③障害者、寡婦、ひとり親、勤労学生

 

①源泉控除対象配偶者がいる場合は「1人」と数えます。

源泉控除対象配偶者とは給与所得者本人の合計所得金額が900万円以下で、合計所得金額が95万円以下の生計を一にする配偶者(年間の収入が150万円以下)をいいます。

 

②控除対象扶養親族には「一般の控除対象扶養親族」、「特定扶養親族」、「老人扶養親族(同居老親等以外の者)」、「老人扶養親族(同居老親)」の4種類に分類されます。

16歳以上の人がカウントの対象となります。

小さいお子さんを扶養している方は源泉所得税には反映されないため、実際の扶養親族の数とは一致しません。

これは児童手当をもらって所得控除も受けるのは不公平だという声があがったことに起因しています。

 

③障害者、寡婦、ひとり親、勤労学生に該当する場合

障害者には「一般」と「特別」があり、本人、同一生計配偶者、扶養親族に該当する方がいれば障害者の人数がカウントされます。

よく出てくる障害者の等級として以下のものがあります。

「一般」は身体障害者3級~6級、精神障害者福祉手帳2級~3級、療育手帳B※

「特別」は身体障害者1級~2級、精神障害者福祉手帳1級、療育手帳A※

※療育手帳については各自治体によって表記が異なります。

例えば東京都の場合は1度~4度に区分されます。

同居している特別障害者がいる場合は「障害者の人数×2」、つまり同居している特別障害者が1人でも「2人」としてカウントします。

寡婦、ひとり親または勤労学生は本人が該当していれば「1人」としてカウントします。

 

●「乙欄」とは、「給与所得者の扶養控除等申告書」を提出していない場合適用されます。

最近、副業が認められている企業が増えてきています。2か所以上の企業から給与を支払われている場合には、扶養控除等申告書を提出している企業から支払われる給与が「甲欄」、

扶養控除等申告書を提出していない企業から給与を支払われる給与が「乙欄」となります。

「乙欄」は「甲欄」に比べて控除される源泉所得税額が高いのが特徴です。

 

●「丙欄」とは、日雇賃金に適用されます。

パートやアルバイトであっても、雇用契約期間が2か月以内と決めている場合は「丙欄」を適用することになります。

もともと雇用契約が2か月を超える場合は「丙欄」は使用できません。

 

 

ここまで源泉所得税を計算する際の「甲欄」「乙欄」「丙欄」を説明してきました。

6月から始まる定額減税では「甲欄」の方が適用となっています。

給与所得者の扶養控除等申告書を提出したところで、定額減税を受けることになります。

従業員の方も給与計算担当者の方も、これを機会に税区分がしっかり設定されているかどうか確認することをお勧めします。

 

渡邊