【第2回】国税庁:質疑応答事例を読んでみた

2024/06/14

日記

このコーナーも早くも2回目となりました。

前回は新着記事から選んでいたのですが、私の探し方が悪いのか、国税庁のHPから新着記事のページを見つけられませんでした。

なので、今回は何となく選んでおります。

それでは参りましょう。

 

〇(法人税)過大役員給与の判定基準

 

【照会要旨】

A社は、その創立総会において、役員給与の年額を総額1億円とすることとし、その各人別内訳は役員会で決定する旨を決議しました。

この決議に伴い、役員会において、甲取締役(代表者)は月額100万円以内、乙及び丙取締役(いずれも非常勤)は月額10万円以内と定めました。その後、役員給与の年額(総額1億円)を改訂せずに甲に対する支給額を増額したため、甲については支給額が1,200万円(100万円×12ヶ月)を超えることとなっていますが、甲、乙、丙の合計額では1億円を超えていません。

この場合において、役員給与が過大であるか否かは、次のいずれによることになるのでしょうか。

 

1 創立総会決定の1億円を基準として判定する。

 

2 役員会決定の1,200万円(月額100万円)を基準として、個別で判定する。

 

(注) A社の常勤役員は、代表者のみです。

 

【回答要旨】

創立総会においては支給額の総枠を定め、各人ごとの支給限度額の決定を役員会に一任したのですから、創立総会において各人ごとの支給限度額を定めたものと解されますので、役員会決定による各人ごとの支給限度額を基準として2により判定することになります。

 

【関係法令通達】

法人税法第34条第2項

法人税法施行令第70条第1号

 

 

【感想】

 

1は“形式基準”、2は“実質基準”で、1のように総会で限度額を設けており、

それを超えてないからOKと、いう訳ではなく、(注)にあるように常勤は代表者である甲のみであるため、非常勤の乙や丙に好き放題支給してよいという話にはならない訳ですね。

 

実質基準は常勤か非常勤か、だけではなく勤続年数や監査役か否か、実質どのくらい経営にかかわっているかなどによって評価します。

 

また「会社と同種の事業を営み事業規模が類似する他の会社の役員報酬の状況と比較する」“倍半基準”という考え方もあるようです。

 

“倍半基準”とは、売上高、利益額、利益率、総資産額など、事業規模を表す指標を用い、指標の0.5倍以上、2倍以下の他社と比較するものです。

 

役員報酬に限らず、日当などいわゆる「社会通念上」認められる金額を決める際には注意して検討しましょう。

 

(町野)