贈与税のお話し

2024/07/01

日記

今回は贈与税を簡単にお話しします。

先日も贈与税の改正点についてお客様から質問がありました。

贈与税は、個人から贈与により財産を取得した場合に課税される税金です。

相続税は相続発生時に現存する財産に課税される税金です。

ならば生前に贈与により財産を移転すれば、相続税の負担が軽減されます。

これを防止する為に生前の贈与についても課税することになっています。

このことからも贈与税は相続税の補完税と言われています。

 

1、課税対象は

現預金や自社株、有価証券、不動産など金銭に見積もることができる経済的価値のあるすべてのものであるが、低額譲受、債務免除などにより受けた利益のように、実質的に贈与により取得したともなされるものになります。

 

2、計算方法は、下記①暦年課税と②相続時精算課税を選択できますが、

1度相続時精算課税を選択すると、その選択した年分以降はすべて

相続時精算課税制度で計算しなければなりません。

なおこの選択はその選択に係る贈与者ごとにできます。

たとえば、父からは暦年課税だけど、母からは相続時精算課税とすることが

できます。

  • 「暦年課税」

贈与税は毎年1月1日から12月31日の暦年に贈与に取得した財産の価額の合計額から、110万円の基礎控除を控除した後の金額に超過累進税率(10%~55%)を乗じて計算します。

また、直系尊属からの贈与で一定の要件に該当した場合は特例税率の適用で税額が軽減されます。

  • 「相続時精算課税」

親子間等の贈与で一定の要件に該当し、贈与を受けた場合に一定の税率で贈与税を納付し、贈与者に相続が開始した場合にこれを精算します。

この制度は、納税者の選択により、暦年単位による贈与税の課税方法「暦年課税」に代 えて、贈与時には本制度に係る贈与税額(特別控除額:累積2,500万円、税率:一律20%) を納付し、その後、その贈与をした者の相続開始時には、本制度を適用した受贈財産の価 額と相続又は遺贈により取得した財産の価額の合計額を課税価格として計算した相続税 額から既に納付した本制度に係る贈与税額を控除した金額を納付することにより、贈与税・相続税を通じた納税をすること ができるものです。

 

3、申告と納税は

贈与税は受贈者が贈与をうけた年の翌年の2月1日から3月15日までに、贈与税の申告と贈与税を納付します。

4、その他

婚姻機関が20年以上の夫婦間で居住用不動産又は居住用不動産を取得する為の金銭の贈与があった場合には、基礎控除110万円のほかに最高2,000万円の贈与税の配偶者控除の適用があります。

5、暦年贈与関係の改正(令和5年改正)

相続又は遺贈により財産を取得した方が、その相続開始前7年以内(改正前は3年以内)に令和6年1月1日以降に被相続人からの贈与により取得した財産が有る場合、その取得した財産の贈与時の価額を相続財産に加算しましたが、延長された4年間に贈与により取得した財産の価額については、総額100万円まで加算しないことになりました。

6、相続時精算課税の改正(令和5年改正)

相続時精算課税を選択した受贈者は令和6年1月1日以降、特定贈与者ごとに1年間に贈与した価額の合計額から基礎控除額110万円を控除することが出来るようになりました。

 

7、贈与があった場合は基礎控除以下でも契約書を交わすことや現金贈与の場合は相手先の預金口座に振込んで履歴を残すことが、その後のトラブル回避につながります。

贈与税の申告は現預金のように評価が簡単なものから自社株や不動産のように財産の価額の評価等が特殊で難しい場合がありますので事前に税務署や税理士へのご相談をお勧めいたします。

 

「参考:国税庁 税大講本 税法入門、相続税法」

鈴木