海外渡航費

2024/09/17

日記

コロナ5類移行で、出張の機会も増えてきているようですね。

目的地が海外の出張も増えてきました。

海外出張の際の海外渡航費が、法人の経費として全て認められるかは、内容次第です。

 

法人がその役員または使用人の海外渡航費に際して支給する旅費(支度金を含む)は、その海外渡航が法人の業務の遂行上必要なものであり、かつ、その渡航のため通常必要と認められる部分の金額に限り、旅費としての法人の経理が認められます。

 

1.業務の遂行上必要な海外渡航の判定

業務の遂行上必要なものであるかどうかは、その旅行の目的、旅行先、旅行経路、旅行期間等を総合勘案して実質的に判定します。

なお、下記の旅行は原則、法人の業務の遂行上必要な海外渡航に該当しません。

①観光渡航の許可を得て行う旅行

②旅行斡旋を行う者等が行う団体旅行に応募してする旅行

③同業者団体その他これに準ずる団体が主催して行う団体旅行で、主として、観光目的と認められるもの

※上記①~③に掲げる旅行に該当する場合であっても、その海外渡航の旅行期間内におけ

る旅行先、行った仕事の内容等からみて、法人の業務にとって直接関連あるものがある(全部でなく一部でも可)と認められたときは、法人の業務にとって直接関連のある部分の旅行について直接要した費用の額は、旅費としての経費処理が認められます。

 

2.業務の遂行上必要と認められえる旅行と、認められない旅行とを合わせて行った場合の旅費

この場合の海外渡航費は、法人の業務の遂行上必要と認められる旅行の期間と認められない旅行の期間との比等で按分し、認められない旅行に該当する金額については、参加した者に対する給与となります。

※海外渡航の直接の動機が特定の取引先との商談、契約の締結等法人の業務の遂行のためであり、その海外渡航を機会に観光を併せて行うものである場合には、その往復の旅費は、法人の業務の遂行上必要と認められるものとして、この往復の旅費を除いた海外渡航費を上記按分の対象とします。

 

3.海外渡航費を損金算入額(経費として認められる額)の計算方法

①全行程のうち、90%以上が業務として認められる場合は、全額法人の経費

②全行程のうち、10%以下が業務として認められる場合は、全額個人負担(給与)

③10%超90%未満が按分で、法人経費と個人負担とに分ける

④海外渡航が業務遂行上直接必要であると認められる場合(業務従事割合が、50%以上の場合に限る)、旅費を「往復の交通費の額」と「その他の費用の額」とに区分し、「その他の費用の額」に損金等算入割合を乗じた金額と往復の交通費の合計額を旅費として損金の額とする。

※損金等算入割合は、10%単位で区分したもので、10%未満の端数は四捨五入する。

業務従事割合の計算方法

  業務として認められる日数   

業務として認められる日数+観光日数

 

4.日数の区分について

昼間の通常の業務時間(概ね8時間)を1.0日として、その行動状況に応じ、0.25日単位で算出。

夜間に業務に従事していた場合は、これにかかる日数を加算。

(1)業務の日数

①工場、店舗等の視察、見学、又は訪問

②展示会、見本市等への参加又は見学

③市場、流通機構等の調査研究など

④国際会議への出席

⑤海外セミナーへの参加

⑥同業者団体又は関係官庁等の訪問、懇談

(2)観光の日数

①自由行動時間での私的な外出

②観光に附随して行った簡易な見学、儀礼的な訪問

③ロータリークラブ等その他これに準ずる会議で、私的地位に基づいて出席したもの

(3)旅行日の日数

原則として、目的地までの往復及び異動に要した日数。

ただし、現地における移動日等の日数で、その内容から見て、「業務の日数」又は「観光の日数」に含めることが相当と認められる日数は、それぞれの日数に含める。

※観光の日数に含める移動日が、土曜日又は日曜日等の休日の場合には、この日数は含めない。

(4)その他の日数

①土曜日又は日曜日等の休日の日数

これらの日のうち、業務の日数と認められる場合は、業務の日数に含める。

旅行の日程から見て、この旅行が殆ど観光と認められ、かつ、これらの日の前後の行動状況から一連の観光を行っていると認められるような場合は、観光の日数に含める。

②①以外の日数のうち、業務の日数、観光の日数及び旅行日の日数に区分されない休養、帰国準備等その他の部分の日数

 

税務当局と争点になるのが、業務の時間か観光の時間。

視察先で名刺交換をしていれば、その名刺を必ず取っておきましょう。

撮影可能場所のみで結構ですが、視察場所を撮影して、画像を保管しておくこと。

レポート(報告書)を作成しておくことも対抗要件となります。

 

仕事で海外に出張しているから、海外渡航費を全額会社経費で会計処理したのに、証拠がなく私的旅行だと認定されてしまうと、個人負担=給与となりますので、業務であるという客観的資料を多く保管しておきましょう。

 

石田