2025/01/16
日記
変動損益計算書。
馴染みのない名前かもしれません。
これは損益計算書(P/L)の数字をグループ化して、簡略化した損益を表す計算書です。
通常の損益計算書は、以下の通り。
売上高-原価=売上総利益
売上総利益-販売管理費=営業利益
営業利益+営業外収益-営業外費用=経常利益
簡略化した変動損益計算書は、費用を変動費(売上に直接かかる費用)と固定費とに分けます。
売上高-変動費=粗利益額
粗利益額-固定費=経常利益
この変動損益計算書で、何が分かるでしょうか。
いくつかありますが、そのうちの一つ損益分岐点比率が分かります。
損益分岐点比率とは、会社がどのくらい儲かっているかを把握する収益性の指標になります。
計算方法
損益分岐点比率=固定費÷粗利益額 (%)
収益性の違いを見てみます(同じ売上高、経常利益の2社比較)
A社 売上高 1億円
変動費 8,000万円
粗利利益額 2,000万円 (粗利益率20%)
固定費 1,200万円
経常利益 800 万円
損益分岐点比率 1,200万円÷2,000万円=60%
B社 売上高 1億円
変動費 6,000万円
粗利益額 4,000万円 (粗利益率40%)
固定費 3,200万円
経常利益 800 万円
損益分岐点比率 3.200万円÷4,000万円=80%
それでは収益性の違いを見てみましょう。
売上が1億円から10%減少する場合。
A社 売上高 9,000万円
粗利益額 1,800万円(9,000万円×20%)
固定費 1,200万円
経常利益 600万円
B社 売上高 9,000万円
粗利益額 3,600万円(9,000万円×40%)
固定費 3,200万円
経常利益 400万円
売上の減少額が同じ場合、減少する前は2社とも同じ経常利益額であったのに対し、減少後は、A社の方が200万円多い経常利益となっています。
固定費は、売上高の増減に関係なくかかる費用のため。
損益分岐点比率がA社(60%)より高いB社(80%)の方が、売上減少の影響が大きくなるのです。
別の言い方をすると、損益分岐点比率が低い方が儲かりやすい体質の会社と言えます。
損益分岐点比率では、売上減少にどこまで耐える(赤字にならない)ことができるかが分かります。
A社 1億円×60%(損益分岐点比率)=6,000万円
B社 1億円×80%(損益分岐点比率)=8,000万円
A社は現在の1億円の売上高が6,000万円まで減少しても赤字にならないのに対し、B社では8,000万円を下回ると赤字に転落します。
この様に、通常の損益計算書からだと読み取れない経営に大切な指標が、変動損益計算書を利用すると見えてくるのです。
自社の変動損益計算書を一度ご覧になることをお勧めいたします。
石田