2025/02/28
日記
インボイス制度が始まってから領収書にインボイス番号が付されているかどうかをチェックする日々が続いておりますが、インボイス番号がなくて困るときありませんか?
実は、例外としてインボイス番号の交付が困難な取引に限り、インボイスの交付義務が免除されているケースがあります。
今回はインボイス番号がなくても全額仕入税額控除ができる特例をいくつかご紹介したいと思います。
まず、軽くインボイスについてのおさらいですが、日本で物を売り上げた際に、頂いた消費税は国に納める必要があります。ただし、売り上げる際にほとんどの場合事前に仕入をしているので、その仕入にかかった税額分は、納税を控除してくれるというのが仕入税額控除です。
インボイスがないと、この仕入税額控除の恩恵をフルで受けることができないのでインボイス番号はあった方が良いということです。
☆自動販売機特例☆
3万円未満の自動販売機及び自動サービス機により行われる商品の販売等については、インボイスを免除するというものです。
具体的には下記のような取引が対象となります。
・自動販売機による飲食料品の販売
・コインロッカー
・コインランドリー
・金融機関のATMや両替機を利用した場合の手数料
いずれも「機械装置のみにより代金の受領と資産の譲渡等が完結する」という点がポイントです。
つまり、機械装置のみにより代金の受領が行わせているだけではダメで、それに加えて機械装置のみにより資産の譲渡等が完結する、という要件を満たしていなければなりません。
自販機特例に該当しないもの
・スーパーやコンビニなどのセルフレジ
・コインパーキング
・自動券売機
・インターネットバンキングを利用した場合の手数料
これらは資産の譲渡をその機械自体が行っているわけではないので該当しません。
☆公共交通機関特例☆
こちらも自動販売機特例同様に、3万円未満であれば公共交通機関へ支払った交通費に関しては、インボイス番号がなくても仕入税額控除を受けることができます。
公共交通機関特例の対象となるのは、
・船舶
・バス
・電車(鉄道・軌道・モノレール) の運賃です。
注意点としては、一人当たりは3万円未満であっても、まとめ買いをした結果3万円を超えた場合は特例を適用できず、インボイスの保存が必要となります。
公共交通機関に該当しないもの
・飛行機
・タクシー
・レンタカー
ただし、出張で飛行機やタクシー、レンタカーを利用する場合は、公共交通機関特例ではなく「出張旅費特例」を適用することでインボイスがなくても仕入税額控除を利用することが可能です。
☆出張旅費特例☆
従業員等に支給する通常必要と認められる出張旅費等(出張旅費、宿泊費、日当及び通勤手当)であれば、インボイスの保存がなくても仕入税額控除できます。
あくまで会社と従業員間の取引なので、『旅費精算書』が必要となります。
☆少額特例☆
基準期間(2期前又は2年前)の課税売上高が1億円以下の場合、税込1万円未満の場合はインボイスの保存がなくても仕入税額控除は認められます。
この特例は令和11年(2029年)9月30日までの間に行う課税仕入れが対象となっておりますのでご注意ください。
さらに注意点として、税込1万円未満が要件となっているので、税抜経理をしていたとしても税込金額で判定する必要があります。
また、一回の取引ごとで判定するので、たとえ単価5千円のものを3つ買ったとしても合計が税込1万円を超えていれば特例を適用できません。
☆古物商特例☆
中古商品を取り扱う企業は、インボイスを発行できない一般消費者を相手にするため、課税上の不公平に配慮し、インボイスがなくても仕入税額控除できるという特例が設けられています。
要件は下記の通りです
・古物商であること
・インボイスの発行事業者以外から仕入れた古物であること
・仕入れた古物が棚卸資産であること
・一定の事項が記載された帳簿を保存していること
https://www.npa.go.jp/news/other/kobutsusitiyatokurei.pdf
これらすべてに共通して、特例を利用して仕入税額控除をするためには『帳簿への記載』が要件とされています。それぞれの特例により記載すべき要項が変わってきますので、詳しくは国税庁を参照してみてください。
今回はインボイスに関わる特例をいくつかご紹介いたしましたが、皆さんはすべてご存じでしたでしょうか?
特例とは違いますが、アマゾンで注文した際もインボイスがないと思われる方多いのですが、注文履歴または購買データのページからインボイスをダウンロードできますので、知らなかったという方は今一度ご確認してみてください。
髙橋